服薬フォローアップの方法

2020年9月施行の改正薬機法にて、薬局薬剤師による服薬フォローアップが義務付けられました。改めて、義務化された理由や具体的な進め方について確認し、服薬フォローアップについての理解を深めていきましょう。

服薬フォローアップとは

服薬フォローアップとは、薬局の薬剤師が患者さんの使っている医薬品の確認を行い、状況に応じて服薬指導や健康管理を行うことです。2020年9月に施行された改正薬機法において、薬局の薬剤師が服薬フォローアップを行うことが義務化されました。

義務化の背景事情

服薬フォローアップは、何年も前からすでに薬局の重要な業務の一つといわれていました。しかし、薬局によって積極的に進めているところとそうでないところがあったため、改めて今回、全ての薬局でサービスを行ってもらうために義務化されたのです。

これまでの薬局薬剤師といえば、薬を調剤する仕事がメインでした。しかしこれからの薬局薬剤師は、患者さんの状況を把握し、健康のための指導を行い、何かあったときに相談に乗る「かかりつけ薬剤師」の役割が求められるようになっていきます。今回の服薬フォローアップ義務化は、その第一歩といえるでしょう。

2024年度改定!加算から指導料へ

服薬中の患者に対して行う薬剤師のフォローアップは、2020年度の診療報酬改定で「調剤後薬剤管理指導加算」として新設されていました。しかし、2024年度診療報酬改定で「調剤後薬剤管理指導加算」が廃止され、新たに「調剤後薬剤管理指導料」が薬学管理料に新設されています。

薬剤師による服薬フォローアップは、薬の継続的な服用、効果の最大化や副作用の抑制など患者の安全や治療への信頼感アップのために重要なものとなっています。薬剤師の貢献度が高いことで、「加算」から独立した「指導料」という形に格上げされたのです。

「加算」から「指導料」に格上げされたことで、対象となる疾患や薬剤が増えました。そのため、薬剤師による継続的な服薬状況確認が重要視されており、安全な治療提供のための専門性がより求められています。

算定できる場面と対象患者

「加算」だったときの対象は、SU剤とインスリン製剤を使用している糖尿病患者でしたが、「指導料」に格上げされたことで下記のように対象が拡大されています。

  • 糖尿病患者:すべての糖尿病治療薬
  • 慢性心不全患者:作用機序が異なる薬剤の多剤併用(循環器用薬)

慢性心不全患者の対象となる治療薬には、以下のようなものがあります。

  • ARBやACE阻害薬
  • β遮断薬
  • SGLT2阻害薬
  • アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)
  • ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)

服薬フォローアップ加算の算定要件

  • 地域支援体制加算の届出をおこなっている
    地域の医療を支える薬局の取り組みを評価する調剤基本料の加算項目となるため、届出を行うことが必要
  • 医師の指示や患者等の求めにより実施する
    退院時などに医療機関や医師から指導実施依頼を受けたり電話で指示を受ける
    または患者本人や家族から希望があり薬剤師が必要性を認めて医師の了解を得る
  • フォローアップは電話等で行う
    直接コミュニケーションが取れる方法で使用状況や副作用の有無を確認する
    メールやチャットでの確認は算定対象にならない
  • 病院へ文書によるフィードバックを行う
    フォローアップによる患者の情報(服用状況や副作用の有無など)を文書で医療機関に提出する
    緊急性が高い場合は電話で直接連絡する

加算点数と算定例

  • 調剤後薬剤管理指導料1:60点(月1回まで)
    糖尿病患者で糖尿病用剤の新たな処方や投薬内容の変更がある
  • 調剤後薬剤管理指導料2:60点(月1回まで)
    慢性心不全患者で心疾患による入院経験がある
    作用機序が違う複数の治療薬の処方を受けている

服薬フォローアップの進め方

声かけする患者さんを決める

服薬フォローアップは、まず患者さんへの声かけから始まります。

しかし、何も考えず全ての患者さんに声をかけるのではいけません。例えば、初めて処方される薬があった患者さんや、吸入指導をした患者さん、ハイリスク薬を処方された患者さんなど、フォローの必要性が高いと考えられる患者さんを中心に声かけしていきましょう。

正確な情報収集

フォローアップすべき患者さんを決めたら、その患者さんへの聞き取りを正確に行い、処方箋やお薬手帳の内容とともに分析・評価します。今飲んでいる薬のことだけではなく、患者さんの年齢やBMI、原疾患や既往歴、食生活などさまざまな情報をできる限り細かく収集し、総合的に判断したうえで、どのようなフォローアップをすべきか計画します。

声かけの仕方

服薬フォローアップを実施するには、別日に患者さんに連絡して症状の確認や服薬指導を行う必要があるため、その患者さんやご家族の協力が必要になってきます。突然連絡するのではなく、来局時に「○日に連絡して、体調のご確認をさせていただいてもよろしいでしょうか」など、その後のフォローアップの意図と予定を丁寧に伝え、アポを取っておくことが大切です。

確認すべき事項

フォローアップの際に確認すべき事項は患者によって異なるため、基本的には薬剤師自身が考えるべきことです。参考として、日本薬剤師会が提供している「薬剤使用期間中の患者フォローアップの手引き」には、

  • 薬剤等の使用状況(残薬の状況を含む)
  • 使用中の薬剤の効果
  • 患者基本状況の変化
  • 併用薬や食品・嗜好品との相互作用による影響
  • 生活機能への影響
  • 生活の特性の変化
  • 使用中の薬剤に対する意識(先入観、不安感)

といった項目を確認するのが基本的な考え方と記されています。

参照元:公益社団法人日本薬剤師会(https://www.nichiyaku.or.jp/pharmacy-info/other/follow-up.html)

分析・評価

服薬フォローアップで確認した事項をもとに、さまざまな情報を組み合わせて薬学的に分析を行います。必要に応じて患者さんへの指導や情報提供を行いますが、その際には指導をした薬剤師の名前を必ず伝えるようにしてください。

副作用が疑われたり薬の使用をやめたほうがいいと判断した場合は、直ちに処方を行った医師に連絡し、情報共有を行ってください。

これらの分析をもとに、また次回のフォローアップについて考えます。

記録

服薬フォローアップの内容は、調剤録に記録し、保存しなければならないと義務付けられています。薬剤服用歴への記録がなされていればオーケーです。他の薬剤師や医師が見ても分かるように記録しましょう。

オンラインでの服薬フォローアップ

薬局薬剤師の服薬フォローアップが義務化されたことに伴い、オンラインで服薬フォローアップをすることが認められるようになりました。

アプリを使ったオンラインフォローアップは空いた時間にできるため、電話と比べてお互いの負担感が少ないです。その便利さや気軽さから、すでにチャット機能を使ったアプリを活用してフォローアップを行っている薬局もあります。

また、わざわざアプリをダウンロードせずとも、多くの人が使っているLINEを利用した「おくすり連絡帳」というサービスを使うという手があります。この「おくすり連絡帳」は、LINE上で質問に答えていくだけで、システムが自動的にフォローすべき患者さんをピックアップしてくれる便利な仕組みです。患者さんの情報は自動的に保存されるため、毎回手動で記録を付ける負担も減ります。

このように、オンラインでの服薬フォローアップを積極的に行うのは良いですが、全てをオンライン上で済ませてしまうのもまた危険といえます。オンライン上の文字だけでは判断できないような微妙なニュアンスを感じ取れるのが、対面や電話の良いところ。必要に応じてさまざまな手段を使い分け、柔軟に患者さんとのコミュニケーションを取るようにしてください。

薬品別に考える服薬フォローアップ

処方箋医薬品

処方箋医薬品を服用している患者さんへ服薬フォローアップを実施した結果、処方薬の変更や中止に繋がり、それが患者さんの症状の改善に繋がった例があります。フォローアップをきっかけに、処方医と薬剤師が互いに情報を提供し合い、連携することも増えたようです。

参照元:ミクスオンライン(https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=69849)

処方箋医薬品以外の医薬品

やむを得ず処方箋医薬品以外の医療用医薬品を購入した患者さんにも、丁寧な服薬フォローアップを行うようにしましょう。体調の変化や有害事象の確認を行い、医療機関を受診するよう勧めてください。

また、要指導医薬品や一般用医薬品を購入した患者さんについても、場合によっては服薬フォローアップを行ったほうがよいケースがあります。

医薬部外品

医薬品と医薬部外品を併用して服用している場合は、その医薬部外品の効果や作用も考慮しつつ、服薬フォローアップを行うことが大切です。

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