非薬剤師のピッキング補助で円滑に運営するには
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0402通知は薬剤師や業界に大きな衝撃をもたらしました。そして、調剤事務も同様です。業務範囲などが変わるとされていますが、どのように変わるのかを見てみるとしましょう。
0402通知とは
2019年4月、厚生労働省から通知された文書のことを言います。通知以前は、調剤業務の範囲がはっきりしていないという課題を抱えていました。
しかし、この通知には調剤業務の範囲について明確にされました。それまでピッキングや一包化した薬剤の数量を確認するなどの業務はあいまいな領域のものだとされていましたが、一定の要件を満たすことによって調剤事務員などの非薬剤師であっても認められるようになったのです。
※参照元:厚生労働省「調剤業務のあり方について」
(https://www.mhlw.go.jp/content/000498352.pdf)
調剤事務の業務範囲
以前の調剤事務の業務は、患者の受付や電話対応、レセコン入力業務や会計事務、調剤報酬の請求、医薬品の発注や点検などを行っていました。
2019年4月に生労働省から通知されたことによってその業務範囲が大きく変わりました。調剤事務の業務は薬剤師の管理下という条件を満たせばピッキングが可能となりますので、仕事の幅が大きく広がります。
この通知に沿って調剤薬局事務員などの業務内容が変われば、薬剤師の業務負担が軽くなるだけではなく、調剤薬局事務員の需要の高まりを見せることでしょう。
※参照元:厚生労働省「調剤業務のあり方について」
(https://www.mhlw.go.jp/content/000498352.pdf)
調剤事務のできること
調剤事務に認められている業務内容は以下の通りです。
- 包装された状態でピッキングを行う
- 薬剤師が監査する前に、一包化した薬剤の数量確認
- 医薬品を冷蔵庫や棚などに収める
- 調剤済みの薬をカレンダーに設置
- 服薬指導済みの不足薬の配達
医薬品卸から納品された医薬品については、調剤室の棚や冷蔵庫、引き出しなどにおさめる業務についても認められています。
その他には、薬剤師によって管理されているという条件であれば、一包化された薬剤の数をチェックすることも可能です。なお確認するタイミングは、薬剤師による監査前となっているため十分注意するようにしましょう。
調剤事務のできないこと
調剤事務が実施してはいけない業務内容については以下の通りです。
- シートから錠剤を取り出して半錠にする
- 軟膏や水薬、粉薬などを計ったり混ぜたりする
- 薬剤の一包化
- 疑義照会
軟膏や水剤、粉薬などを計ったり混ぜたりする作業は認められていないため注意が必要です。疑義照会とは、処方せんの内容について医師に問い合わせを行う業務のことを指します。疑義照会は、薬剤師法で定められた薬剤師の業務となっているため、資格のない方が実施することは認められていません。
調剤事務員がピッキングするには?
薬剤師による管理がなされているという条件であれば、調剤事務が実施できる業務範囲が広がります。
しかし軟膏や粉薬、水薬などを計ったり混ぜたりする業務については、薬剤師が途中確認を行うという条件であっても認められていないため十分注意が必要です。
非薬剤師の業務は、最終的には薬剤師がその責任を追うことになっている点が重要なポイントと考えられます。
調剤事務がピッキングをできることの運営メリット
薬剤師の確保の容易さや人件費の抑制
それまで薬剤師のみが行える業務の範囲は広いものでした。そのため、薬局業務には薬剤師が欠かせません。その点は今後も変わらないのですが、薬剤師以外の人間が行える業務が増えるのであれば必要な薬剤師の人数が減ります。そのため、薬剤師の確保が容易になる点や、人件費の抑制が可能。薬剤師は国家資格。誰もが簡単に名乗れるものではありませんので、確保も難しいものでした。そのため、本来であれば何人も確保したいと考えている薬局もあったことでしょう。
しかし、今後は薬剤師は必要最小限で良いのです。
薬剤師業務の負担減
薬剤師の負担減少もメリット。薬剤師のみが行える仕事が減りますので、薬剤師としても「自分でなければできないこと」が減り、結果的に仕事の質が高まるでしょう。
調剤事務がピッキングすることによる運営デメリット
調剤過誤のリスクが高まる
ピッキングは専門的な知識を持つ薬剤師でさえミスをしてしまうものでした。そのため、多くの人が行うとなれば、ミスの増加が懸念されます。
薬剤師以外のスタッフの負担増
薬剤師以外でも行えることが増えますので、単純に薬剤師以外のスタッフは仕事が増えます。負担増となり、ミスが増えてしまうことも考えられるでしょう。
調剤事務がピッキングをするなら
監査システムの導入が必須
誰もがピッキングが行えるようになる環境はメリット・デメリットそれぞれあります。しかし、ミスが増えるようであれば薬局そのものの評判を落とすことにもなりかねません。
担当者が変わってもクオリティを落としてよいことにはなりません。そこで監査システムなど、ヒューマンエラーを防げるシステムの導入がおすすめ。極力人間の負担を軽減するシステムを導入することで、誰が行っても一定のクオリティを満たせる環境づくりに寄与してくれることでしょう。