調剤過誤の慰謝料は?
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調剤過誤を起こしたくて起こす薬剤師などいないことでしょう。しかし、もしも起こしてしまった場合、慰謝料や損害賠償の話へと発展します。そこで、もしも慰謝料や損害賠償の話に発展した場合にどうなるのか、過去の事例と照らし合わせながらいろいろとみてみるとしましょう。
調剤過誤による慰謝料・損害賠償は誰に請求されるのか
調剤過誤によって体調不良等、「被害」を受けた場合、慰謝料や損害賠償を請求する権利があります。民事責任は「過失」「因果関係」「損害」が全て揃うとことで発生。被害者は損害賠償請求権を得ることができます。
調剤過誤という「過失」を犯したのが薬剤師である「因果関係」により、体調不良等の「損害」を受けたら、被害者には損害賠償請求権が与えられますので、慰謝料請求・損害賠償請求を受けてもおかしな話ではありません。
薬剤師に損害請求できるのか
実は薬剤師への損害請求は被害者だけではなく、薬剤師が所属していた会社も可能です。民法715条1項に定められる使用者責任等によって明記されており、もしもですが薬剤師のミスによって被害者が会社に損害賠償請求を起こし、会社が費用を支払った場合、会社の立場とするとその費用は「被害額」になりますので、調剤過誤を犯した薬剤師に対し、損害賠償を訴えることが可能です。
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調剤過誤の慰謝料相場
調剤過誤による慰謝料がどれくらいなのか、いくつかの事例から見てみるとしましょう。
調剤薬局のミスで慰謝料
- 慰謝料:133万円
2018年、大分市内の調剤薬局が、風邪薬を処方するはずが高血圧・狭心症の治療薬を出してしまい、服用した男児が入院。被害を受けた男児の親族が病院に対し、慰謝料133万円を求めました。
調剤ミスにて慰謝料
- 慰謝料:60万円
平成28年に起きたこちらの案件は薬剤師ではなく、入院中の看護師の投与に関するものです。加療投与による慰謝料として、裁判所は病院に対し、被害者への60万円の支払いを命じました。
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死亡によって薬剤師に高額請求
- 慰謝料:2,365万円
2008年、肺がん治療のために入院していた男性に肺炎薬を過剰に投与したところ、死亡してしまいました。担当の薬剤師には「処方箋中の疑義」の内容違反にあたるとして、慰謝料2,365万円の支払いが命じられました。
慰謝料だけじゃないリスクがあるからこそ対策が重要
慰謝料の支払いは金銭的な負担はもちろんですが、社会的信頼を失うことにもつながります。そのため、調剤過誤が起きないよう対策を立てる必要があります。
「うちは大丈夫」「そんなことはそうそう起きない」と思っている方も多いかもしれませんが、慰謝料を支払うことになった病院や薬剤師とてそのように思っていたことでしょう。調剤過誤は調剤業務を行っている全ての薬剤師・薬局にとって他人事ではないからこそ、対策が求められます。