分割調剤について

「分割調剤」とは、その名の通り処方箋を分割して発行する処方を指します。こちらの記事では、分割調剤の流れや注意点、どのような場合に行われる処方なのかといった点などについてまとめていますので、参考にしてください。

分割調剤とは

図説

分割調剤とは、最大3回に分割して処方箋を発行する処方のことで、医師によって「薬剤師のサポートが必要である」と判断された場合に行われています。

この分割調剤は2016年の診療報酬改定以降に実施されるようになりました。しかし、それ以前も、患者さん自身による長期間に渡る薬剤の管理が難しいと判断される場合や、初めてジェネリック医薬品を使用する患者さんのためのお試し期間として短期間のみ処方する場合などに、すでに分割処方は用いられていました。2016年までは、長期処方やジェネリック医薬品のお試しでの分割処方には、医師への連絡は必要でしたが医師の判断までは必要ありませんでした。しかし、2016年の診療報酬改定以降の分割調剤には医師の判断も必要となっています。

参照元:ファルマスタッフ(https://www.38-8931.com/pharma-labo/carrer/skill/bunkatsu.php

分割調剤の流れ

医師の指示による場合

医師の指示による分割調剤の場合、まず処方箋が「分割指示に関わる処方箋(別紙)」とともに発行されます。処方箋の数は分割回数に合わせて、最大3枚です。

薬剤師が、患者さんから上記の最大3枚の処方箋と「分割指示に関わる処方箋(別紙)」一式を受け取ります。すべての書類がそろっていないと受付はできません。

受付をしたら、分割指示に従って1回目の調剤・交付を行います。2回目以降の処方箋は患者さんに返却し、2回目以降の調剤・交付の際に持ってきてもらいましょう。

2回目以降は同じように調剤・交付を行い、すべての調剤・交付が終わったら処方箋を回収しましょう。また、2回目以降の調剤・交付の際には調剤・交付後の処方医への情報提供が義務化されています。処方医へ服薬情報等提供書などを提出して、服薬情報などを伝達しましょう。

長期保存が困難な場合

患者さん自身による薬剤の長期保存が困難な場合は、患者さんからの処方箋の受付、処方医への紹介の後、14日分の薬剤を必要に応じて分割調剤を行います。

処方箋に、今回調剤済みにならなかった分の薬剤と分割処方の理由を処方箋に記載して患者さんに返却します。そして、調剤録もしくは薬歴に必要事項を記入しましょう。

すべての調剤・交付が終わったら、処方箋を回収します。

なお、ジェネリック医薬品を短期間お試しで処方する場合も流れは同じです。ただし、ジェネリック医薬品の場合は、患者さんの希望に応じて分割処方を行うことになります。

分割調剤のメリット

服薬アドヒアランスの向上

患者が自身の病状について理解・納得した上で、積極的に薬を服用する状態を「服薬アドヒアランス」と呼びます。一般的に、服薬量が増加した場合には患者の服薬アドヒアランスが低下してしまうことで飲み忘れなどが発生し、本来期待される効果が得られなくなる、と考えられています。

分割調剤を用いることによって、複数回にわたる調剤や交付の際に薬剤師から服薬指導やカウンセリングを受けることが可能になります。その際、患者は困り事や薬の使用感、自身の健康状態の変化などについて相談することができるといったように、患者側からのアクションが可能となり、服薬アドヒアランスの向上が期待できます。

副作用や効果を早く確認できる

分割調剤を行う場合には、調剤を行うたびに患者の健康状態などさまざまな点についてヒアリングし、処方医に連絡が可能となります。例えば、新薬の服用時など副作用について予測が難しいケースだったとしても、分割調剤を選択することによって副作用や効果について早い段階で確認できます。

このように、コミュニケーションを多くとれる点から患者との信頼関係の構築にもつなげられるため、結果として前述した服薬アドヒアランスの向上も期待できます。

ジェネリック医薬品を試しやすくなる

ジェネリック医薬品について不安を感じている患者の場合でも、分割調剤の選択によって試しやすくなるという面もあります。少量から試せるため、効果や副作用を確認しながら服用でき、ジェネリック医薬品への移行を行えます。

また、万が一ジェネリック医薬品が合わなかった場合にもすぐに元の薬に戻せますので、リスクを抑えられますし、医療費の削減にも貢献できるため、患者の経済的なメリットにも繋げられます。

患者さんの負担軽減

通常の調剤を選択したケースでは、例えば長期保存ができない薬の処方を行った場合、都度通院・受診する必要がありました。このような場合でも分割調剤であれば受診する時間や医療費負担の軽減につながります。

さらに高温多湿を避ける必要がある薬剤など、患者の自宅では保管が難しい薬があったとしても、薬局での管理が可能になるため、患者の負担を軽減できますし、患者以外の家族が薬を管理している場合には、家族の負担軽減に繋げられます。

分割調剤の際の注意点

薬剤師の業務量が増える

分割処方の代表的なデメリットが、薬剤師の作業量が増えることです。通常の処方であれば調剤・交付は1回で済みますが、分割処方の場合は分割回数の分だけ処方・交付の作業を行わなくてはいけません。また、合わせて処方医への連絡や服薬情報等提供書の記入などのデスクワークも増えてしまいます。

また、2回目以降に患者さんが来局しなかった場合には来局を促したり、薬局を変更したいという申し出があれば変更先の薬局に情報提供を行ったりもしなくてはいけません。反面、こうした作業が増えても調剤報酬はそれほどつかないのもデメリットだと言えるでしょう。

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