薬局でBCPを策定する方法とは
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薬局でのBCP策定方法は一般企業とは少し異なります。ここでは薬局と一般企業とのBCPの違いや策定方法について解説します。
BCP策定の目的
まずBCP(事業継続計画)を策定する目的は、災害やテロなどが起きたとしても、事業を継続しやすくすることです。何らかのトラブルが起きても事業を継続できるようにしたり、早期に復旧できるようにしたりすることで、企業の価値や信頼を維持することを目的とします。
一般企業BCPと薬局BCPの違い
一般企業と薬局では、災害などのトラブルが起きたときの業務の量と規模が変わることに違いがあります。もし大地震が起きたとしたら一般企業は業務量が減ることが多いものですが、薬局では反対に業務量が増える可能性が高くなります。大災害でけが人が多くなれば、薬局の業務量は自然と増えるはずです。
また業務活動の範囲や規模が拡大することも、一般企業と薬局のBCPにおける大きな違いです。災害が起こればこれまでなら薬局を利用しなかった人も訪れるようになり、医療機関から薬剤師派遣の要望があることも考えられます。
以上のように一般企業では大災害の際に業務を求められることは少ないものの、薬局は反対に通常よりも多くの業務をこなさなければならなくなるはずです。
薬局BCPの策定方法
それでは薬局BCPを策定するにはどのようにすれば良いのでしょうか。まずは地域ごとに想定されている災害や問題などを洗い出し、「実際に起きたらどのような状況になるか」と想定することから始めてください。
そして災害が起きた場合の業務内容に優先順位をつけ、業務を行うために必要なヒト・モノ・情報・ライフラインを把握します。優先的に行うべき業務に必要な資源が明確になったら、災害が起きても利用できるように確保する手段を講じましょう。
最後に災害からの事業継続と復旧をどのように実現するべきか考え、具体的に「災害発生からどの機関までにどのくらいの業務を遂行するか」を決めます。ただし災害時に電気や水道などが使えなくなる可能性は高く、調剤監査システムなども動かないかもしれません。そのような事態も想定し、代替手段により業務を行うことを考慮しながら策定していきましょう。
薬局BCPを策定するポイント
優先事業は売上の割合で判断する
まず優先するべき事業を決めるには、平時の売上の割合から判断しましょう。売上の割合が大きい業務は、求めている顧客が多い業務であり、優先することで顧客からの信用を維持しやすくなるためです。また企業の売上維持にも役立ち、災害による損失も抑えられます。
目標復旧時間は周辺の医療機関にあわせる
薬局BCPにおける目標復旧時間の設定は、周辺の医療機関にあわせて行ってください。たとえば災害拠点病院が近くにあるなら、できる限り早期に業務を再開するのが望ましいと考えられます。近隣の医療機関が個人医院やクリニックである場合、それらの診療再開にあわせて目標復旧時間を設定するのもひとつの方法です。