リフィル処方箋について

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リフィル処方箋とは、簡単に言うと「繰り返し使える処方箋」のことです。ここでは、このリフィル処方箋の概要や使い方、メリット・デメリットについての情報を見ていきましょう。

リフィル処方箋とは

通常、薬剤の内容が同じであっても同じ処方箋を複数回使うことはありませんでした。しかし、2022年度診療報酬改定にて、一定期間内であればひとつの処方箋を繰り返し使える「リフィル処方箋」が導入されたのです。

このリフィル処方箋の導入の背景には、薬の処方のためだけの通院回数が多い患者さんへの負担を軽減し、なおかつ通院回数の減少による医療費を抑制することも狙いとしてあります。

「リフィル」とは、「補充」を意味します。その意味の通り、リフィル処方箋は医師が投薬を決めて処方箋を発行する際に、繰り返し利用できる回数をあらかじめ決定します。たとえば、90日分の薬剤を3回に分けたい場合は、30日分の処方箋を1枚発行し、利用可能回数3回と記載するのです。

分割調剤との違い

リフィル処方箋と同じようなやりかたに、分割調剤があります。分割調剤は2016年から導入された方法で、定められた処方期間を最大で3分割するという仕組みです。これに対して、リフィル処方箋は同じ処方箋を規定回数繰り返して使うという点で異なります。

分割調剤は、主に長期保存が難しい薬剤を処方するとき、ジェネリック医薬品をはじめて使用し始めるとき、医師からの指示があったときに用いられます。また、分割調剤の分割回数は最大で3回と定められています。

分割調剤は、令和元年に行われた薬剤師の業務実態調査によれは、分割処方を行っていると回答した薬剤師は全体のわずか9%にとどまり、まだまだ十分に普及しているとは言えない状態です。

リフィル処方箋のメリット・デメリット

リフィル処方箋のメリット

医師の負担軽減

リフィル処方箋のメリットであると同時に目的のひとつとも言えるのが、医師の負担軽減です。医師の仕事内容はさまざまですが、その中でも処方箋を用意するために要する時間が業務時間の中の多くを占めていました。そのため、ほかの業務になかなか取りかかれなかったり、残業時間が増えてしまう原因ともなっていました。そこで、ひとつの処方箋を繰り返して使えるリフィル処方箋を導入することで、処方箋を用意するための事務作業時間を削減できることが大きなメリットです。

患者の通院負担軽減

患者側の負担軽減も、リフィル処方箋の導入の大きな目的でありメリットです。従来は、処方箋を受け取るだけに通院しなくてはいけない患者さんがたくさんいます。その中には、遠方在住や歩行困難などの理由で、頻繁な通院が大きな負担となっている患者さんもいます。しかし、リフィル処方箋が普及すれば、通院回数を減らせる患者さんは多くなるでしょう。

国家の医療財政改善

リフィル処方箋の普及は、国家の医療財政の改善にもメリットがあります。厚生労働省は、平成29年6月9日閣議決定の「経済財政運営と改革の基本方針2017」において、薬価制度の抜本改革、患者本位の医薬分業の実現に向けた調剤報酬の見直し、薬剤の適正使用などを盛り込んだ目標を設定し、2020年(平成32 年)9月までに、後発医薬品の使用割合を80%とすることを決定しました。リフィル処方箋には、こうした目標達成を促進することが期待されています。

リフィル処方箋のデメリット

医療事故のリスク増

従来のやり方では、処方箋発行や調剤は医師と薬剤師によるダブルチェックを行っていました。この状態だと確かに作業負担は大きいのですが、ダブルチェックができるので情報交換のミスなどによる医療事故の発生を防ぎやすいというメリットがありました。

対して、リフィル処方箋導入後ではチェックを行うのは薬剤師だけになるのでチェックが甘くなり、医療事故発生のリスクが高まることが危惧されています。

医薬品転売のリスク増

リフィル処方箋は、1枚あれば複数回使えるので、手軽に薬剤を手に入れることができます。これは非常に便利である反面、薬剤の転売に悪用される危険性もはらんでいます。そのため、セキュリティや法整備が十分に進むまでは転売のリスクを避けたいと考える医療機関もあります。

患者さんの病状が把握しにくい

通院回数が減ることは患者さんの通院のための負担を減らせるというメリットがあります。しかしその反面、これは患者さんを診察する機会や病状を聞き取る機会が減ることでもあります。そのため、患者さんの通院回数が減少することは、患者さんの病状を確認する機会の減少にもつながるというリスクがあるのです。

薬剤師の負担増

リフィル処方箋の導入の目的のひとつは作業負担の軽減です。しかし、医師の負担は減少しても、薬剤師の負担はかえって大きくなってしまうのではないかという声があるのです。リフィル処方箋が普及すれば、患者さんの受信回数は減少し、薬を小分けにして薬局で受け取ろうとする人が増えるでしょう。また、通院回数が減少することから、薬剤師が医師に代わって患者さんの経過観察を行わなくてはならなくなるなど、薬剤師の業務拡大が予想されるのです。

リフィル処方箋の薬局経営への影響

海外諸国と比較して、日本ではまだリフィル処方箋は十分に普及していません。しかし、将来的にリフィル処方箋が普及していくことで、医療業界にはさまざまな変化が起こると考えられます。

まず、薬剤師に求められるスキルがさらに増えることが予想されます。医師に代わって患者さんと直接相対し、経過観察を行わなくてはいけなくなるでしょうから、これまでの事務的な業務スキル以外にも、対人スキルを身につける必要が出てくるでしょう。当然、薬剤師もその労働時間には限界があるので、これまでよりもさらに業務を効率化しなければ、患者さんの直接応対という新しい業務をこなしていくのは難しいでしょう。

また、リフィル処方箋はかならずしも医療機関に歓迎されているわけではありません。政府はリフィル処方箋による再診の効率化を期待していますが、医療機関へのインセンティブもないので、医療機関としてはあまり利益にはつながらないのです。

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