ヒヤリハット防止・対策

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調剤薬局におけるヒヤリハットの対策の意味

ハインリッヒの法則によると、1件の重大事故の背景には300ほどのヒヤリハットが存在するとのこと。つまり、ヒヤリハットが300件報告されれば、1つの事件を未然に防ぐことができると考えることもできます。
様々なヒヤリハットを共有することで、ヒヤリハットの数が増え、事件を防ぐことが可能になります。その点でも、自局はもちろんですが、他の様々な事例に於けるヒヤリハットを確認することは、決して無駄ではありません。

2019年にヒヤリハットは過去最多になった

2020年9月、日本医療機能評価機構から発表された「薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業2019年 年報」によると、19年の1月から12月の1年間で報告されたヒヤリハットは14万4,848件とのこと。
この数字は過去最高で、ちなみに前年は7万9,973件であったことから、倍近く増えていることも分かります。ヒヤリハットがこれだけ増加している背景に、薬剤師やスタッフの負担の増加が挙げられます。本来であれば冷静に対処できることも、ヒヤリハットしてしまった点。また、ヒヤリハットを報告することで事故を未然に防げることから、積極的にヒヤリハットを報告するようになった点が挙げられています。

※参照元:日本医療機能評価機構「薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業2019年 年報」
(http://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/pdf/year_report_2019.pdf)

2020年もヒヤリハット件数はのびている…?

2020年1月~3月のヒヤリハット件数

医療事故情報収集によると調剤薬局で発生したヒヤリハット事例は96件。ちょっとした気の緩みからのものや、環境そのものに起因するヒヤリハットなど様々な事例が報告されています。ヒヤリハットで済んだからよしとする声もありますが、裏を返せば、事故に繋がる可能性があった事例になります。
ちなみにこちらは増加傾向にあるとのことで、如何に薬剤師の調剤環境にヒヤリハットが多く潜んでいるのかが分かるのではないでしょうか。

※参照元:日本医療機能評価機構|事例検索
(http://www.med-safe.jp/mpsearch/SearchReportResult.action)

日本医療機能評価機構から公表されている
薬局のヒヤリハット事例を紹介しています

調製漏れの事例

患者にルナベル配合錠ULDが処方され、輪ゴムで束ねていたシートケース3つを交付した事例です。

患者からの電話で3つのシートケースのうち2つに薬剤がセットされていないことが判明し、さらに同日に別の患者からも連絡が入り、こちらも薬剤が入っていないシートケースを1つ交付していたことが発覚しました。

薬局ではシートケースに薬剤をセットし曜日シールとともに輪ゴムで束ねることとなっており、薬剤師はシートケースが輪ゴムで束ねられていたため薬剤がセットされているものと思い込んでいました。

薬剤手順書では薬剤が入っていることを確認することになっていたが行っておらず、在庫が合っているため他薬との取り違えはなく薬剤はセットせず捨ててしまったようです。

※参照元:公益社団法人 日本医療機能評価機構 ヒヤリ・ハット事例
http://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/pdf/sharing_case_2021_03.pdf

異なる成分の薬剤取り違え事例

アイラミド配合懸濁性点眼液が処方された患者に、調製者が誤ってアイファガン点眼液0.1%をピッキングし交付者も間違いに気づかず交付した事例です。

患者が点眼前に薬剤名称が違うことに気づき薬局に連絡したため、薬剤師がすぐに患者宅へ出向き薬剤を交換しました。

患者には以前からアイファガン点眼液0.1%が処方されていましたが、前回からアイラミド配合懸濁性点眼液に変更となっており、薬剤名称や容器形状も似ているため思い込みが生じたことが原因でした。

薬局では配置場所を離し注意喚起のための目印をつけ、また鑑査者・交付者は調製された薬剤を確認する時容器に記載された薬剤名も最後まで読み上げるという改善策を報告しています。

※参照元:公益社団法人 日本医療機能評価機構 ヒヤリ・ハット事例
http://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/pdf/sharing_case_2021_06.pdf

吸入薬のセット忘れ事例

患者にスピオルトレスピマット60吸入が処方され薬剤を交付しましたが、使用時に薬剤が噴霧されないことに気づき薬局へ来局しました。薬局ではレスピマット製剤を調剤する場合カートリッジをセットしてから患者に交付する決まりでしたが、セットし忘れて交付していた事例です。

交付したカートリッジはセットして使用できることを確認しましたが、メモリがずれて正確に表示されないため新しい薬剤と交換しました。

当該調剤を行った時が繁忙な時間帯であったこと、また患者に処方された薬剤数が多く確認作業に追われたため確認が行き届かず発生したものです。

今後はカートリッジがセットされていることを確認してからラベルを貼るという手順の順守を改善策としています。

※参照元:公益社団法人 日本医療機能評価機構 ヒヤリ・ハット事例
http://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/pdf/sharing_case_2020_01.pdf

同成分の薬剤取り違え事例

後発医薬品であるジエノゲスト錠1mg「モチダ」を56錠調剤するところ、同薬を50錠と先発医薬品のディナゲスト錠1mgを6錠取り揃えた事例です。

鑑査時に間違いに気づき、ジエノゲスト錠 1mg「モチダ」を56錠患者に交付しました。

両剤は調剤棚に並べて配置してあり、取り違えた薬剤師は入局したばかりの者でした。

鑑査者はシートのデザインが類似していたために間違いに気づかず、患者が開局前に来局したため焦りも生じていました。

改善策としては新人薬剤師への教育と、処方頻度が低い薬品は調剤棚から外し、引出に入れて管理すること、鑑査時の作業手順についてスタッフ全員で確認を行うことが考えられています。

※参照元:公益社団法人 日本医療機能評価機構 ヒヤリ・ハット事例
http://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/pdf/sharing_case_2020_02.pdf

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ヒヤリハットの防止・対策

ヒヤリハットの報告書の提出を徹底する

基本的なことではありますが、ヒヤリハットは報告が重要です。報告することで様々な医局で情報共有が可能となり、事故・ミスを未然に防ぐことに繋がります。そのため、ヒヤリハットの報告書の提出は徹底するとよいでしょう。しかし、ヒヤリハットを提出しないケースも確認されています。時間がない、書きにくいといった理由もあれば、抵抗があるといった報告や、そもそもヒヤリハットを提出する必要がないとの声も。
ヒヤリハットの提出が大げさではなく薬剤師環境の改善に繋がる点を共有し、ヒヤリハットを積極的に提出してもらう環境づくりも大切です。

報告が難しいならシステムでヒヤリハットを軽減

ヒヤリハットの報告に抵抗がある薬剤師が多い環境であれば、システムを導入し、快適な環境を構築することでヒヤリハットの機会減少を狙う方法もあります。
調剤システムであればミス・ヒヤリハットの少ない環境を目指すことが可能。薬剤師の負担軽減にもつながりますので、薬剤師の労働環境改善にも一役買ってくれることでしょう。

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