ヒヤリハット事例

ヒヤリハットは重要なものですが、具体的にどのようなヒヤリハットが報告されているのか、事例を元に見てみるとしましょう。

2026年の調剤薬局ヒヤリハット報告事例

ヒヤリ・ハット事例をまとめている日本医療機能評価機構より、2026年の「共有すべき事例」を紹介します。重大な医療事故を未然に防ぐためにも事例を分析し、安全な業務手順や体制の改善にぜひご活用ください。

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事例1:一包化調剤における薬剤混入の事例

薬剤師が自動錠剤分包機のユニバーサルカセットを用いて、2名の患者の調剤を連続して行った際に発生した事例です。先行する患者の調剤で使用した薬剤(エンレスト錠100mg)がカセット内に残存していましたが、これを確認せずに次の患者の薬剤(タケキャブOD錠10mg)を充填・分包しました。その結果、後続患者の薬包の一部に本来の薬剤が入らず、前の患者の薬剤が混入しました。鑑査を行った薬剤師は、2包目以降を錠数のみで確認していたため、過誤を発見できずに交付に至りました。
本事例は、ユニバーサルカセットの残留薬確認不足と、鑑査時の照合不足が要因です。再発防止策として、カセット使用前後の薬剤が残っ ていないかの徹底確認や、一包化調剤における全包の処方内容照合を行うと報告されています。

※参照元:日本医療機能評価機構|共有すべき事例 2026年 No.1
(https://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/pdf/sharing_case_2026_01.pdf)

事例2:名称類似薬の取り違えに関する事例

本事例は、70歳代の患者に対し、処方された「ロフラゼプ酸エチル錠1mg『サワイ』」を、薬剤師が誤って「ロラゼパム錠1mg『サワイ』」として調製したものです。鑑査時に間違いが発見されましたが、背景には、両薬剤が同じ引き出し内に外箱のまま保管されていたこと、および頻繁に使用する薬剤への「思い込み」があったと報告されています。

対策として、当該薬局では引き出しへの仕切り設置や、外箱への「名称類似」ラベルの貼付を実施しました。また、調製時の文字単位での確認徹底や、次工程へ進む前の再確認をルール化しています。向精神薬は管理スペースが限られており、類似薬が近接配置されやすい傾向にあるため、本事例のような物理的な仕切りや注意喚起札、さらには調剤監査支援システムの導入といった多角的な対策が、取り違え防止には極めて重要です。

※参照元:日本医療機能評価機構|共有すべき事例 2026年 No.1
(https://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/pdf/sharing_case_2026_01.pdf)

事例3:計数間違いに関する事例

モンテルカスト細粒4mg「タカタ」などの分包品において、包装単位(1袋7包入り等)の計数間違いに関する事例が報告されています。本事例では、90日分の処方に対し、事務員が12袋と端数を取り揃えましたが、そのうちの1袋が開封済みで内容量が不足していたため、結果として2包不足した状態で鑑査に回されました。

この背景には、端数の薬剤を開封済みの袋に戻して保管していたという運用上の課題があります。未開封品と開封済みが混在し、外観から区別がつかなくなっていたことが要因です。このような計数ミスを防ぐためには、開封した袋に端数を戻さず「輪ゴムで留める」「別容器で管理する」といった明確なルールを手順書に定め、組織全体で遵守することが不可欠です。

また、鑑査時には複数の分包袋が混在する場合でも、一袋ずつ開封状態や封入数を確認する徹底したチェック体制が求められます。散剤や顆粒剤、液剤など、同様の包装形態を持つ薬剤についても、同様の注意を払う必要があります。

※参照元:日本医療機能評価機構|共有すべき事例 2026年 No.2
(https://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/pdf/sharing_case_2026_02.pdf)

事例4:戻し間違いによる薬剤取り違えの事例

シダキュアスギ花粉舌下錠5,000JAUが処方された患者の調剤で、薬剤棚に混入していたクラリチンレディタブ錠10mgを誤って調製した事例です。前の患者用に調製したクラリチンレディタブ錠が不要となった際、外観が類似するシダキュアスギ花粉舌下錠の棚に誤って戻されていたことが原因です。鑑査担当の薬剤師が取り違えを発見しました。

改善策として、外観類似薬の薬剤棚にマーカーで色分け表示を行い、戻し作業時のダブルチェックを導入しています。「薬剤棚に入っている薬剤は正しい」という先入観を排除し、業務繁忙時はすぐに棚へ戻さず一時保管場所を活用するルール整備が有効です。GS-1コードを用いた調剤監査支援システムの活用も、手順とシステムの両面から取り違えを防ぐ対策として重要といえます。

※参照元:日本医療機能評価機構|共有すべき事例 2026年 No.3 (https://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/pdf/sharing_case_2026_03.pdf)

2025年の調剤薬局ヒヤリハット報告事例

第33回報告書からヒヤリ・ハットの事例を抜粋し、対策について紹介しています。「フォゼベル錠に関する事例」「アポハイドローション20%の事例」「リフィル可欄の見落としの事例」についてまとめていますので、ぜひ参考にご覧ください。

※参照元:日本医療機能評価機構|薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業第 33回報告書(2025年1月~6月)
(https://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/pdf/report_33.pdf)

事例1:フォゼベル錠に関する事例

フォゼベル錠は、腸管からリンの吸収を低下させることによって、血中リン濃度を低下させる働きを持つ薬剤です。これは食前の服用により高い効果が期待できるとされていますが、フォゼベル錠の疑義照会や処方医への情報提供に関する事例においては用法や用量に関する事例が多く、処方された用法が食前ではない事例が多く見られます。

また、副作用が発現した事例においては、患者より軟便・下痢といった消化器症状を聴取し、処方医に対して情報提供を行った事例が報告されています。以上から、フォゼベル錠を交付する場合には患者に対して下痢が起こる可能性を説明するとともに、継続服用している患者に対しては消化器症状について定期的な確認を行っていくことが重要といえます。

※参照元:日本医療機能評価機構|薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業第 33回報告書(2025年1月~6月)
(https://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/pdf/report_33.pdf)

事例2:アポハイドローション20%の事例

アポハイドローション20%は個包装のボトル製剤であるため、薬剤師は1本あたりの内容量を把握し、処方箋記載の数値・単位について慎重に確認を行った上で調剤を行うことが求められます。処方では「g」、「mL」、「本数」といったようにさまざまな単位が使われるケースがあることから処方間違いが発生する可能性があり、調剤を行う際に間違いないか確認が求められます。

アポハイドローション20%に関する事例では、包装単位に関するケースのほか、病態禁忌についての疑義照会を行った事例が報告されています。アポハイドローション20%は抗コリン作用を有することから抑汗作用を示すと考えられており、閉塞隅角緑内障の患者や下部尿路閉塞疾患(前立腺肥大等)を持つ患者には禁忌とされています。そのため、処方が行われた際には患者からの聴取やお薬手帳、薬剤服用歴などをもとに、禁忌に該当する疾患がないか検討する必要があります。

※参照元:日本医療機能評価機構|薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業第 33回報告書(2025年1月~6月)
(https://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/pdf/report_33.pdf)

事例3:リフィル可欄の見落としの事例

薬局においてリフィル処方箋の応需頻度が低く処方箋の確認が不十分だった点を背景として、リフィル可欄の見落とし事例も多く報告されています。今後はリフィル処方箋の発行率が上がっていくと考えられているため、薬局で適切に対応できるように業務手順を定め遵守することが必要とされています。

そのほかリフィル処方箋に関連した疑義照会や処方医への情報提供に関する事例においては、リフィル対象外とされている薬剤がリフィル可で処方された事例が報告されています。中でも処方日数制限が定められている向精神薬や湿布薬について誤ってリフィル処方されている事例があります。そのほか、リフィル回数や処方日数に関する間違い事例も報告されています。

※参照元:日本医療機能評価機構|薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業第 33回報告書(2025年1月~6月)
(https://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/pdf/report_33.pdf)

2024年の調剤薬局ヒヤリハット報告事例

第31回報告書からヒヤリ・ハットの事例を抜粋し、対策をご紹介します。診療ガイドラインを活用して疑義紹介や処方医への情報提供を行ったことなどの事例を紹介します。事例には有益な情報が示唆されていますのでぜひご覧ください。

※参照元:日本医療機能評価機構|薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業第 31回報告書(2024年1月~6月)
(https://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/pdf/report_31.pdf)

事例1:マンジャロ皮下注アテオスに関する事例

マンジャロ皮下注2.5mgアテオスが処方された事例です。患者は同薬剤を4週間使用していて今回が5週目の処方でしたが、マンジャロ皮下注アテオスは通常週1回2.5mgから開始し、4週間投与した後、週1回5mgに増量する薬剤です。そのため、疑義照会を行った結果、マンジャロ皮下注5mgアテオスへ変更することになりました。

また、マンジャロ皮下注2.5mgアテオスを4週間使用した患者に、マンジャロ皮下注10mgアテオスが処方されたこともありました。マンジャロ皮下注アテオスの添付文書の用法及び用量には、「週1回2.5mgから開始し、4週間投与した後に週1回5mgに増量する。」と記載されていることから処方医へ疑義照会を行った結果、マンジャロ皮下注5mgアテオスに変更となりました。

※参照元:公益財団法人日本医療機能評価機構|薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業第 31回報告書(2024年1月~6月)
(https://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/pdf/report_31.pdf)

事例2:グラアルファ配合点眼液に関する事例

アイファガン点眼液0.1%を使用中の患者にグラアルファ配合点眼液が追加で処方されることになりましたが、グラアルファ配合点眼液には、アイファガン点眼液0.1%の有効成分であるブリモニジン酒石酸塩が含まれるため、処方医へ疑義照会を行いました。

結果、アイファガン点眼液0.1%は削除されることになりました。また、緑内障の患者にグラアルファ配合点眼液が処方されたこともありました。患者は以前からアイラミド配合懸濁性点眼液を使用していて、今回も定期薬として処方されていました。

グラアルファ配合点眼液とアイラミド配合懸濁性点眼液は有効成分のブリモニジン酒石酸塩が重複するため、処方医に疑義照会を行った結果、アイラミド配合懸濁性点眼液がエイゾプト懸濁性点眼液1%に変更となりました。

※参照元:公益財団法人日本医療機能評価機構|薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業第 31回報告書(2024年1月~6月)
(https://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/pdf/report_31.pdf)

ヒヤリハットを防ぐポイント

症状・薬への理解もさることながら、患者に対して常にフラットな意識を持つことが求められます。

特に薬を継続している患者に対しては「以前もそうだった」「前と同じ」であることに疑問を持ちにくくなります。しかし、どのような状況の患者に対しても、あくまでも「処方される薬」のみをフラットに見て、適切な判断を下すことが求められます。

少しでも疑問に感じることがあれば疑義紹介を積極的に行い、疑問を解消する姿勢が求められます。「いつもと同じだから」と疑問に思ってもそのまま処方してしまうと、患者の生命を脅かすことになりかねない責任を背負っていると自覚することと併せて心がける必要があります。

2023年の調剤薬局ヒヤリハット報告事例

疑義照会や処方医への情報提供に関する事例

第30回報告書から事例を抜粋し、対策をご紹介します。疑義紹介や処方医への情報提供を行うことによって処方薬の変更などが行われた事例についてまとめました。

※参照元:日本医療機能評価機構|事例から学ぶ
(https://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/pdf/learning_case_2023_2_01.pdf

事例1:病態禁忌の事例

新型コロナウイルス感染症の20歳代の女性患者に対し、ゾコーバ錠125mgが処方された事例です。この時、患者に妊娠または妊娠している可能性を確認したところ、月経が予定日よりも遅れており、妊娠の可能性があることがわかりました。処方医に疑義照会を行った結果、薬剤が削除となりました。

こちらのケースについては、医療機関でも妊娠について尋ねられたものの、妊娠の可能性まで考慮した上での返答はしていなかったことが原因として推定されています。

事例2:使用禁忌に関する事例

患者に対し、ゾコーバ錠125mgが処方された事例です。こちらの患者は、ゾコーバ錠と使用禁忌とされているラツーダ錠40mgを服用していたため、薬剤師は処方医に対して疑義照会を行っています。処方医によると、患者から併用薬はないと診察時に聞いたとのこと。こちらの疑義照会を行った結果、ゾコーバ錠125mgがラゲブリオカプセル200mに変更となりました。

事例3:同効薬が重複していた事例

施設に入所している患者に対し、ラゲブリオカプセル200mgが処方された事例です。薬剤師は、施設の職員から「他の医療機関において、患者に対しパキロビッドパックが処方されている」という点を確認したため、薬剤師はラゲブリオカプセル200mgを処方した医師に対して疑義照会を行ったところ、削除となりました。

事例4:腎機能障害がない患者への処方

患者にパキロビッドパック300が処方された事例です。薬剤師は、患者から腎機能障害がない点を聴取。パキロビッドパック300は中程度の腎機能障害が見られる患者に投与することから、処方医に対して疑義照会を実施。その結果、パキロビッドパック600に変更となっています。

事例5:患者の服薬状況に関する事例

90歳代患者に対し、ラゲブリオカプセル200mが処方された事例です。こちらの患者は、これまで嚥下困難はなかったものの、交付の翌日に「カプセルが大きくて飲み込めない」といった内容の相談がありました。そのため、薬剤師は製薬会社から提供されているデータを確認し、脱カプセル後に懸濁して服用させたとしても薬剤の吸収には問題ないと判断し、処方医に情報提供を行いました。協議の結果、カプセルを外して水に懸濁した直後に服用することになりました。

そこで薬剤師は患者に対し、懸濁後2時間以降のデータがないこと、懸濁せずに粉末を服用したデータはないこと、妊婦への曝露に注意する必要があるという点について説明しました。

事例6:患者の年齢に関する事例

18歳未満の患者に対し、ラゲブリオカプセル200mgが処方された事例です。ラゲブリオカプセル200mgは18歳以上が対象となっていることから、薬剤師は処方医に対して疑義照会を実施。その結果、ラゲブリオカプセル200mgからゾコーバ125mgに変更となりました。

ヒヤリハットを防ぐポイント

例えば、ゾコーバ125mgについて女性への処方を行う場合には妊娠または妊娠をしている可能性まで十分に確認を行うことや、使用禁忌がないかなどについて確認することが重要となってきます。また、処方薬によっては年齢によって処方できないものもあることから、患者の年齢に合った処方が行われているかも重要なポイントです。

さらに現在服用している薬と重複しないようにするためには、服用中の薬がないかどうかという点も十分な確認が必要であるといえます。

自動車の運転等危険を伴う機械を操作する患者に注意が必要な薬剤に関する事例

薬剤の中には、自動車などの運転を行う患者に対して処方を行う場合、注意しなければならないものもあります。そこで、第29回報告書から事例を抜粋し、対策をご紹介します。

※参照元:日本医療機能評価機構|事例から学ぶ
(https://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/pdf/learning_case_2023_1_01.pdf)

事例1:花粉症患者に対する処方の事例

花粉症の患者に対して、オロパタジン塩酸塩錠5mg「JG」が処方された事例です。この患者の職業は電車の運転士であり、さらに服用する期間中も運転業務を継続する、という点を聴取しました。

しかしオロパタジン塩酸塩錠の添付文書には「眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう十分注意すること。」という記載があります。このような点から疑義照会を行ったところ、フェキソフェナジン塩酸塩OD錠60mg「YD」に変更になりました。

ヒヤリハットを防ぐポイント

上記のように、眠気が発現しやすい薬剤の処方が行われたケースにおいては、患者に自動車などの運転を行う可能性があるかを確認することが非常に重要なポイントです。しかし、自動車等の運転を禁止することによって日常生活や社会生活を送る上で支障が出る可能性もあるため、必要に応じて眠気が発現する可能性が少ない薬剤への変更を行うなど、自動車運転等の頻度・状況、患者の病状や生活の質などさまざまな面を考慮しながら対応することが重要といえます。

2022年の調剤過誤事例

名称類似の配合剤による取り違え

テルミサルタン40mg・ヒドロクロロチアジド配合剤の一般名処方を応需した際、患者が後発医薬品を希望したため「テルチア配合錠AP『DSEP』」を調製すべきところ、事務員が誤って「テラムロ配合錠AP『DSEP』」をピッキングした事例です。鑑査者がこの間違いに気付いたため、患者への交付は未然に防がれました。発生の背景には、両薬剤ともにテルミサルタンを40mg含有する配合剤であり名称が酷似していたこと、また混雑時でピッキング担当者に焦りがあったことが挙げられています。

※参照元:公益財団法人 日本医療機能評価機構 医療事故防止事業部「薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業 共有すべき事例」
(https://www.google.com/search?q=http://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/pdf/sharing_case_2022_01.pdf)

考えられる対策

配合剤が処方された際は、入力・調製・鑑査の各段階で、複数の有効成分とその含有量を処方箋と照合することが重要です。対策として、先発・後発品の販売名や一般名名称をまとめた一覧表を作成し、スタッフ全員に周知徹底することが有効です。また、名称が類似する薬剤同士を離れた場所に配置したり、棚に注意喚起の掲示を行ったりするほか、調剤監査支援システムの導入も検討すべきです。

同一成分の規格・効能違いによる取り違え

泌尿器科を受診した患者に対し、前立腺肥大症に伴う排尿障害の治療目的で「タダラフィル口腔内崩壊錠5mg:ZA」が処方されました。しかし調製者は、誤って肺動脈性肺高血圧症に用いられる「タダラフィル錠20mgAD」を取り揃えてしまいました。鑑査者や交付者もこの間違いに気付かず薬剤を交付し、患者は40日間服用した後に自ら薬剤の違いに気付きました。幸い副作用は確認されませんでしたが、規格(5mgと20mg)および製品区分(ZAとAD)の確認不足が招いた事例です。

※参照元:公益財団法人 日本医療機能評価機構 医療事故防止事業部「薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業 共有すべき事例」
(https://www.google.com/search?q=http://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/pdf/sharing_case_2022_04.pdf)

考えられる対策

タダラフィル製剤のように、同一成分であっても効能・効果によって「ZA」「AD」「CI」と名称が区別されている薬剤は、その特徴を正しく理解し、患者の疾患や治療目的と照らし合わせる必要があります。取り違え防止のため、効能や規格が異なる後発品の保管場所を分ける工夫が推奨されます。また、交付時に患者と一緒に薬剤の名称と規格を一つひとつ確認する習慣をつけることが再発防止の鍵となります。

分包機への充填間違いによる薬剤混入

カルベジロール錠10mgを含む11種類の薬剤を一包化調剤した際、42包中5包に本来の薬剤ではなく「デュタステリド錠0.5mgAV」が混入していた事例です。原因は、以前他の一包化で余った薬剤を自動錠剤分包機に再充填する際、錠剤の色調が類似していたために誤ったカセットに投入してしまったことでした。本来は2名で目視確認する手順でしたが、この時は1名で作業が行われていました。

※参照元:公益財団法人 日本医療機能評価機構 医療事故防止事業部「薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業 共有すべき事例」
(https://www.google.com/search?q=http://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/pdf/sharing_case_2022_10.pdf)

考えられる対策

自動錠剤分包機への充填ミスは、複数の患者に重大な影響を及ぼす恐れがあります。分包紙から取り出した薬剤を再充填する際は、錠剤の刻印から薬剤名を特定し、複数人でカセットの表示と照合することを徹底しなければなりません。目視だけでなくGS1コード照合機を活用することも有用です。また、一包化の鑑査では全ての包装で間違いが起きているとは限らないため、一包ずつ丁寧に薬剤と数量を確認する姿勢が求められます。

2021年の調剤過誤事例

包装変更に伴う計数間違い

患者にフェブリク錠40mg(1日1錠、60日分)が処方された事例です。調製者は全量60錠を取り揃える際、14錠シート2枚、10錠シート2枚、端数4錠を準備しましたが、鑑査時に計52錠しかないことが発覚しました。原因は、当該薬剤の14錠シートの販売が終了し10錠シートに切り替わっていましたが、その情報が周知されていなかったことです。薬剤棚に旧包装(14錠)と新包装(10錠)が混在しており、シートや外箱の大きさに大差がなかったため、調製者が10錠シートを14錠シートと思い込んで計数してしまいました。

※参照元:公益財団法人 日本医療機能評価機構 医療事故防止事業部「薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業 共有すべき事例」
(https://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/pdf/sharing_case_2021_02.pdf)

考えられる対策

包装変更があった際は、薬剤棚に「10錠シートに変更」などの表示を行い、スタッフ間での情報共有を徹底することが重要です。特に新旧包装が混在する場合は、誰が見てもわかるように区別して保管する必要があります。また、製薬企業が提供する患者向け資材を薬剤棚に貼るなどして、調製者への注意喚起に活用することも有効な手段となります。

名称・外観類似による取り違い

アイラミド配合懸濁性点眼液が処方された際、調製者が誤ってアイファガン点眼液0.1%をピッキングし、そのまま交付してしまった事例です。患者が点眼時に薬剤名の違いに気付き、連絡があったため発覚しました。この患者には以前からアイファガンが処方されていましたが、前回からアイラミドに変更されていました。両剤は名称が似ているだけでなく、容器の形状やラベルの表示(文字色や配置など)も非常に類似しており、薬剤師に「思い込み」が生じたことが原因とされています。

※参照元:公益財団法人 日本医療機能評価機構 医療事故防止事業部「薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業 共有すべき事例」
(https://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/pdf/sharing_case_2021_06.pdf)

考えられる対策

名称や外観が類似する薬剤を採用する場合、配置場所を離す、有効成分を表示する、識別を促す目印やラベルを活用するなどの対策が重要です。鑑査・交付時には、容器に記載された薬剤名を最後まで読み上げることが推奨されます。また、薬剤情報提供書や薬袋の画像と現物を照らし合わせながら、患者と共に名称、規格、数量などを確認することも誤交付の防止に有用です。

処方箋の記載形式による用量誤認

クラリスロマイシン錠200mgの処方(1回2錠、1日4錠、84日分)に対し、薬剤師が1日2錠と思い込み、必要量の半分である168錠を交付した事例です。患者が服用を続けて40日ほどで薬がなくなったため、医療機関への再処方依頼をきっかけに間違いが発覚しました。調剤した薬剤師は、患者の疾患(非結核性抗酸菌症)は把握していましたが、その治療では1日800mgを投与することを理解しておらず、また「1回量と1日量が併記された処方箋」の形式に不慣れであったことが要因です。

※参照元:公益財団法人 日本医療機能評価機構 医療事故防止事業部「薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業 共有すべき事例」
(https://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/pdf/sharing_case_2021_09.pdf)

考えられる対策

適応症によって投与量が異なる薬剤を調剤する際は、患者の疾患を把握したうえで用法・用量を監査する必要があります。医療機関によって処方箋の記載方法(1回量記載、1日量記載、併記など)が異なる現状に留意し、正しく読み取る意識を持つことが重要です。スタッフ間では、特定の疾患における用量知識や、複雑な処方箋の記載形式について声掛けを行い、注意を促す取り組みが求められます。計数間違いの発見には、薬袋の内容と薬剤の突合や、交付時の患者との相互確認が有効です。

2020年の調剤薬局ヒヤリハット報告事例

日本医療機能評価機構では定期的にヒヤリハットの事例が挙げられています。確認するだけで身になることも多いのではないでしょうか。そんなヒヤリハット事例ですが、第23回・2020年のものでは抗てんかん薬について話題となっています。

抗てんかん薬に関するヒヤリハット事例

第23回報告書から事例をいくつか抜粋し、対策をご紹介します。

※引用元:日本医療機能評価機構|事例から学ぶ
(http://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/pdf/learning_case_2020_1_01.pdf)

事例1:上限量の理解不足

ラミクタール錠とセレニカR錠を併用して服用してい患者に対し、投与量が変更された。しかし一日上限値を超えていたことから、再度変更。一日の上限量を理解していなかったことによる、ヒヤリハットです。

事例2:増量の間隔を誤る

イーケプラ錠500mg1日3,000mgが処方されたものの、実はその8日前にイーケプラ錠500mgを1日2,000mgに増量していたばかり。3,000gを超えない範囲という運用は守っているものの、増量は2週間以上空けなければならない点を失念していたとのことで、後に再度2,000mgへと変更となりました。

ヒヤリハットを防ぐポイント

抗てんかん薬はいくつか守らなければならない点があります。一つだけをクリアしていればOKなのではなく、全てを守らなければならないので覚えておかなければならない点が多々あります。いわば複合的な知識が求められるので、監査をより徹底して行う必要があります。

調剤監査システムを使用してのヒヤリハット事例

第23回報告書から事例をいくつか抜粋し、対策をご紹介します。

※引用元:日本医療機能評価機構|事例から学ぶ
(http://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/pdf/learning_case_2020_1_02.pdf)

事例1:レセプトコンピュータへの処方入力間違い

患者にテルチア配合錠BP「DSEP」を渡すところ、テラムロ配合錠BP「DSEP」を渡してしまったとのこと。ピッキングでも誤っていたことからシステムでエラーが表示されず、監査でも気付かなかったとのことです。

事例2:調製時の他剤の混在

メバロチン錠5の棚にメバロチン錠10が混在していたことで、メバロチン錠5を取りそろえた際、メバロチン錠10を一緒に調製してしまったとのこと。調剤監査支援システムではメバロチン錠5の包装バーコードを読み取ったことからエラーも表示されず、患者と確認した際にミスに気付いたとのことです。

ヒヤリハットを防ぐポイント

調剤システムは利便性の高いもので、上手く活用することで薬剤師の労働環境を大きく変える可能性があります。しかし、レセコンの入力、あるいは薬剤補充に誤りがあるようではせっかくの利便性の高さも活用できません。入力、薬剤補充など、人間の手が加わる部分での間違いをないよう徹底することが重要です。
人間の手によってミスを起こさないことこそ、調剤システムの利便性をより高めるものです。確認すべき部分は何度もチェックしておきましょう。

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ヒヤリハット防止・対策
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  • 棚番ごとの数量入力で棚卸し作業軽減
  • ラベル・帳票プリンターと接続可能
  • 全自動錠剤包装機と連動、手撒き分包にも対応
  • 調剤履歴を制御PCに保存、CSV出力可能

※表は横にスクロールできます

調剤過誤防止 スピードアップ 導入 メンテナンス
補充時の
正誤チェック

棚に入れる時点での
ミスを防ぐ

予製

予製の監査をあらかじめ完了できる

画像保存

処方した薬の写真を撮影し、患者からの後日問合せにも記録をもとに対応できる

先行調剤

処方箋入力前に作業ができる

複数人同時調剤

1枚の処方箋を複数人で作業できる

ピッキング
ナビゲーション

ピッキング順序をナビゲートしてくれる

機種

機種によって設置場所の確保・工事の可否が異なる

薬品マスタの更新

薬品マスタデータの更新方法

監査以外の
便利機能

30日間無料お試しからスタート
iPodtouch
iPhone
iPad
があれば工事不要(専用PC不要)
自動更新
  • 在庫管理・棚卸と連動して業務効率化
  • 予製作成で棚卸しの時短
  • オンライン服薬指導に対応
他システムと連携で機能拡充
専用端末を
購入して導入
(専用PC設置)
手動更新
  • バーコード読み取り後の実在庫チェックで棚卸し対応
老舗メーカー発のお手軽システム
スキャナ付
iPodtouch
もしくは
専用端末を
購入して導入
(専用PC設置)
  • 棚番ごとの数量入力で棚卸し作業軽減
  • ラベル・帳票プリンターと接続可能
全自動錠剤包装機とも連動
専用端末を
購入して導入
(専用PC設置)
  • 全自動錠剤包装機と連動、手撒き分包にも対応
  • 調剤履歴を制御PCに保存、CSV出力可能