調剤薬局の待ち時間によるクレーム対策
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調剤薬局は患者が大勢足を運べば混みあうものです。その混雑が薬剤師にとってはプレッシャーとなり、ミスを誘発してしまったり、あるいは患者からのクレームに発展してしまうことも。そこで、今回は主に患者からのクレームについて、様々な点から見てみるとしましょう。
薬局の待ち時間でクレームがおきる要因
薬局においては、「待ち時間が長い」というクレームが発生することがあります。その理由としては、「自分がいつ呼ばれるのかわからない」「いつ呼ばれるのか不安」「何もしていない時間は長く感じる」といったようにさまざまな理由が考えられます。ここでは、薬局の待ち時間でクレームが起こってしまう要因についてご紹介します。
何もしていない時間は長く感じてしまう
薬局の待ち時間は、何もせずに待っているということが多くなります。このように「何もせずに待っている時間」は、非常に退屈であるため、その分長く感じる場合もあります。テレビを見たり、本を読んだりすることで待ち時間がそこまで長く感じないものですが、特に何かをするでもなく待っている場合には長く待たされている気分になってしまい、クレームにつながってしまうと考えられます。
不安がある
処方箋を受付に出してから自分が呼ばれるまでの時間は、その時の状況によって異なりますので、「何分待てば自分が呼ばれるのかがわからない」という不安を感じることもあります。中には、薬を受け取った後に用事を入れている人もいるでしょう。その時に薬局がそこまで混んでいなければあまり待ち時間は長くなりませんが、混んでいる場合には自分がいつ呼ばれるのかがわからない、さらに誰かが薬剤師と話し込んでいたりすると余計に時間がかかってしまい、結果として「時間がかかる」というクレームに発展することがあります。
独りの待ち時間は長く感じる
誰かと一緒に薬局を訪れている場合は、それほど待ち時間は長く感じないものです。しかし、病院には1人で訪れている人も多く、そのような人は当然調剤薬局にも1人で行くことになります。
同じ時間を待つ場合でも、誰かと一緒に待つ場合と1人で待つ場合を比較すると、後者の方が待ち時間は長く感じるでしょう。何もすることがない場合は特に、長く待たされているという意識になってしまうケースもあると考えられます。
待ち時間に対するクレーム対応・対策
役立つ言葉と控える言葉を覚える
クレーム相手に、同じように激高するのは論外として、「分かっています」「知りません」といった突き放すような言葉もNG。待たせてしまって申し訳ないという態度を言葉にすることで、相手が抱いているイライラを緩和させることができます。「恐縮ですが~」「お手数をおかけして大変恐れ入りますが~」など、自分自身側をへりくだることで、相手の心情面を徐々に緩やかな物にするとよいでしょう。
いわば相手の言葉に対し、肯定が大切です。「いや」「そうじゃなくて」「だから」といった否定的な接続詞は、相手のイライラを余計増長させてしまうと覚えておきましょう。
退屈を忘れさせよう
調剤薬局で待たされてイライラする理由の一つに、退屈な点が挙げられます。
そこで、退屈しのぎになるものを用意してみるのも良いでしょう。代表的なものはテレビですが、玩具等も良いでしょう。「動くもの」を置くことで、退屈が多少は緩和され、イライラの抑制に繋がります。
待ち時間に配慮しよう
待ち時間が分からない点は、患者にとってイライラの大きな理由の一つ。
そこで、待ち時間が分かるシステムを導入してみるのも良いでしょう。番号札にしてどれくらいの患者が待っているのかを視覚的に表示したり、凡そで良いので時間を提示したり。これらにより、「分からないからイライラする」心理を多少抑制する効果があります。
システムの導入で解決する
ピッキング監査システムを導入し、ピッキングを円滑にすることで患者一人一人の応対時間を短縮することで待ち時間の軽減が可能です。システムによって業務の円滑化も図れるので、まさに一石二鳥。業務+患者のクレーム両方に悩んでいるのであればシステム導入は大きな解決策となることでしょう。
実際にどのようなクレームがあったのか
薬局には多くの人が訪れるため、さまざまなクレームが発生します。時には思いもよらない内容のクレームが発生することも。ここでは、実際にどのようなクレームがあったのかを紹介していきます。
待ち時間に関するクレーム
薬局を訪れて処方箋を出してから薬を受け取るまでにかかる時間は、その時の状況によって異なります。時には10分かからずに呼ばれる場合もありますし、混んでいたり何か確認が必要だったりする場合には1時間以上かかる場合も。特に体調がすぐれない場合や、病院の後に用事がある場合などには「待ち時間が長い」「薬はまだ出てこないのか」といった形でのクレームが発生することがあります。
料金に関するクレーム
例えば、「服薬指導はいらないから、薬学管理料はとるな」「薬代が高くなった」といったように、料金に関するクレームが発生することもあります。処方箋の通りに薬を出してもらえれば良いので薬学管理料を算定しないでほしいという主張から上記のような話になったり、処方内容に変わりないのに薬代が変わったことによる不信感によって、クレームにつながったりする可能性も考えられます。
保険証に関するクレーム
初めて薬局を訪れた患者に対して保険証の提示を求めた際「さっき病院でも見せたのに、なぜここでも見せる必要があるのか」というクレームが発生し、保険証の提示を拒否されるケースもあります。特に、病院と薬局が隣接しているような場合に発生しがちなクレームであるといえます。
待ち時間を短縮する方法は?
薬局におけるクレームは、やはり待ち時間に関するものが多い傾向があります。そのためクレームを減らすには、待ち時間を短縮することも重要なポイントといえます。そこでここでは、待ち時間を短縮する方法について見ていきましょう。
業務効率化
まずは、業務効率化への取り組みが考えられます。例えば、予製薬を作成して調剤時間の短縮を行う、スタッフ教育を行って臨機応変に効率よく行動できるようにする、ピッキングスキルの向上を目指す、処方内容に応じた場合分けなど、さまざまな方法が考えられます。また、調剤室で物を探している時間を減らすことも、業務効率化につながるため、もののありかがひと目でわかるような工夫をするのも良いでしょう。
待合室の改善
待合室を改善し、薬局を訪れた人が快適に過ごせる空間づくりを行うこともおすすめです。待ち時間の短縮に直接つながるわけではありませんが、テレビを設置したりヘルスケアに関連するパンフレットや展示を行ったりする事で待ち時間を有効活用できれば、「待たされている」という感覚を持ちにくくなります。どのような物を設置すれば、薬局内で退屈さを感じずに過ごせそうかを考え、実践してみることがおすすめです。
処方箋受付の効率化
処方箋受付を効率化するのも、ひとつの方法です。例えば、処方箋内容の入力を行うスタッフを増員する方法が考えられます。このことによって受付の入り口部分を広げ、さらにそれぞれのスタッフが業務をしっかりと分業化できるため、処方箋を出してから薬を受け取るまでの時間の短縮につながる可能性があります。
ICTツールの活用
待ち時間を減らす方法として、ICTツールを活用するのも選択肢のひとつです。例えば、患者自身が事前に処方箋の情報を薬局に対して送付できるようにすれば、患者は用事などを済ませてから薬局に来れますし、タイミングによってはすぐに薬を受け取ることもできます。また、調剤状況を確認できるシステムを導入する、ピッキングをスムーズに行うためのピッキング監査システムの導入を行うといった方法が考えられます。
クレーム発生後の対応が非常に大切
薬局の待ち時間などに関するクレームについて解説してきました。待ち時間を短縮するにはさまざまな方法が考えられるため、できるところから取り組んで行くことがおすすめです。クレームが発生してしまった場合には、その後の対応が重要。クレームは薬剤師の対応次第で「信頼」にも変わります。どのような対応ができるかが重要なポイントとなってきますので、本記事の内容などをぜひ参考にしてみてください。