IT導入補助金はある?
ITの導入を支援する目的で、IT導入補助金が作られました。調剤監査システムは補助の対象となるのでしょうか。この記事ではIT導入補助金について詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
調剤監査システムは対象になる?
調剤薬局もIT導入補助金を利用してITツールの導入ができます。登録認定を受けたツールしか利用できないため、現在利用できるITツールとしては在庫管理や薬歴システム、患者の会計情報などを一元管理できるレジシステムなどが挙げられます。調剤監査システムが適用となるかどうかについては、確認が必要です。
2026年から名称変更!薬局が知っておくべき「デジタル化・AI導入補助金2026」の基礎
これまで「IT導入補助金」として実施されてきた制度は、2026年度から「デジタル化・AI導入補助金2026」として実施されています。中小企業・小規模事業者が、自社の課題解決や生産性向上に向けてITツールを導入する際の費用を支援する制度です。
調剤薬局でも利用を検討できますが、導入するシステムであれば何でも補助対象になるわけではありません。補助金事務局に登録されたITツールを、登録されたIT導入支援事業者とともに申請することが基本となります。
そのため、調剤監査システムを導入する際は、導入予定の製品・プランが「デジタル化・AI導入補助金2026」の対象ITツールとして登録されているかを事前に確認しましょう。
調剤監査システムやクラウドシステムが補助対象となる理由
デジタル化・AI導入補助金2026は、企業が抱える経営課題や業務上の課題に対して、ITツールを活用して生産性向上や業務効率化を図る取り組みを支援する制度です。
薬局では、ピッキングや監査、薬歴管理、会計、患者対応などさまざまな業務が発生します。こうした業務をデジタル化することは、調剤業務の効率化だけでなく、薬剤師が服薬指導やフォローアップなどの「対人業務」に充てる時間を確保することにもつながります。
そのため、登録されたITツールであれば、調剤監査システムをはじめ、電子薬歴、レセコン、オンライン服薬指導などに関するソフトウェアが補助対象となる場合があります。
通常枠ではソフトウェア購入費のほか、クラウド利用料や導入設定、導入コンサルティング、保守・サポートなど、登録ITツールに含まれる関連費用も補助対象となる場合があります。クラウド利用料については最大2年分が対象となるため、クラウド型の調剤監査システムを検討している薬局にも活用しやすい制度です。
ただし、同じ製品でも契約するプランや機能によって補助対象外となるケースがあります。申請前にIT導入支援事業者へ対象範囲を確認してください。
IT導入補助金とは
IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者が業務効率化、DXに向けたITツールの導入を支援するものです。補助金の対象には、相談対応などのサポート費用やクラウドサービス利用料も含まれますが、すべてのツールが対象にはならず事前に審査を受けて補助金HPに登録・公開されているものとなります。
補助金の申請はITツールの導入、補助金支援をスムーズにおこなうためのサポートを行っているIT導入支援事業者とパートナーシップを組んで行う必要があります。
IT導入補助金には様々な種類があります。
- 通常枠:事業のデジタル化を目的としたシステム導入を支援
- インボイス枠(インボイス対応類型):インボイス制度対応の会計ソフトや受発注ソフトなどの導入を支援
- インボイス枠(電子取引類型):インボイス制度に対応した受発注システムを昇竜単位で導入する企業を支援
- セキュリティ対策推進枠:サイバー攻撃に対応するための導入を支援
- 複数社連携IT導入枠:複数の中小企業、小規模事業者が連携して地域DXの実現を目指す取り組みを支援
採択の回数
IT補助金は申請して不採択になっても、同じ年度内は何度でも申請し直すことができます。
IT導入補助金2021以前に採択を受けている場合でも新たに申請することができますし、IT導入補助金2022以降に採択を受けていても交付決定から12か月以上空けるか、別の申請枠なら申請することができます。
対象となる企業規模
IT導入補助金の対象となるのは、日本国内で法人登記されいる、そして日本国内で事業をしている法人または個人で、生産性向上のためにITツールを導入する中小企業。小規模事業者などです。
具体的な中小企業・小規模事業者の条件は、業種分類によって決まっています。いくつか例を挙げます。
- 製造業、建設業、運輸業:資本金が3億円以下、従業員が300人以下
- 卸売業:資本金が1億円以下、従業員数が100人以下
- サービス業:資本金が5千万円以下、従業員数が100人以下
- 小売業:資本金の額が5千万以下、従業員数が50人以下
- 医療法人、社会福祉法人;常時使用する従業員数が300人以下
調剤薬局は小売業に分類されています。
IT補助金申請の手順まとめ
画像参照元:デジタル化・AI導入補助金2026(https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/flow/)
補助される金額
| 種類 | 補助額、補助率 |
|---|---|
| 通常枠(※1) | 機能要件プロセス1~3つ:補助額5万円~150万円未満(補助率1/2以内) 機能要件プロセス4つ以上:補助額150~450万円以下(補助率1/2以内) ※2/3以内の場合あり(令和6年10月~令和7年9月の間で、「当該期間における地 域別最低賃金以上、令和7年度改定の地域別最低賃金未満」で雇用 している従業員が全従業員の30%以上である月が3か月以上ある場合 |
| インボイス枠 (インボイス対応類型) (※2) |
ITツール 補助額50万円以下の部分は(補助率3/4以内、小規模事業者は4/5以内) 補助額50万円超~350万円の部分は(補助率2/3以内) PC・タブレットなど 補助額10万円まで(補助率1/2以内) レジ、券売機など 補助額20万円まで(補助率1/2以内) |
| インボイス枠 (電子取引類型) (※3) |
350万円以下(補助率2/3以内) |
| セキュリティ対策推進枠(※4) | 5~150万円以下(1/2以内、小規模事業者は2/3以内) |
| 複数者連携デジタル化・AI導入枠(※5) | 経費区分:インボイス対応類型の要件に属する経費 補助対象:ITツール(ソフトウェア・オプション・役務) 補助額350万円まで(内、50万円以下は補助率3/4、4/5以内(※6)、50万円~350万円は補助率2/3以内) 補助対象:PC・タブレットなど 補助額10万円まで(補助率1/2以内) 補助対象:レジ・券売機など 補助額20万円まで(補助率1/2以内) 経費区分:インボイス対応類型の要件に属さない複数者連携デジタル化・AI導入枠特有の経費 補助対象:消費動向等分析経費 補助額50万円×グループ構成員数(※7)(補助率2/3以内) 補助対象:代表事業者が参画事業者を取りまとめるために要する事務費、外部専門家謝金・旅費 補助額インボイス対応類型の要件に属する経費と消費動向等分析経費を加えた費用の10%(補助率2/3以内) |
※1参照元:デジタル化・AI導入補助金2026/通常枠【PDF】(https://it-shien.smrj.go.jp/pdf/it2026_kitei_tsujyo.pdf)
※2参照元:デジタル化・AI導入補助金2026/インボイス枠(インボイス対応類型)【PDF】(https://it-shien.smrj.go.jp/pdf/it2026_kitei_invoice.pdf)
※3参照元:デジタル化・AI導入補助金2026/インボイス枠(電子取引類型)【PDF】(https://it-shien.smrj.go.jp/pdf/it2026_kitei_denshi.pdf)
※4参照元:デジタル化・AI導入補助金2026/セキュリティ対策推進枠【PDF】(https://it-shien.smrj.go.jp/pdf/it2026_kitei_security.pdf)
※5参照元:デジタル化・AI導入補助金2026/複数者連携デジタル化・AI導入枠【PDF】(https://it-shien.smrj.go.jp/pdf/it2026_kitei_fukusu.pdf)
※6 中小企業:補助率3/4以内。小規模事業者:補助率4/5以内
※7 対象は、本補助事業で消費動向等分析経費の対象となるITツールを導入するグループ構成員
【薬局向け】通常枠とインボイス枠の補助上限額・補助率の比較
調剤監査システムや薬局業務に関連するITツールを導入する際は、導入目的やシステムの機能によって利用できる申請枠が異なります。
特に検討されることが多い「通常枠」と「インボイス枠(インボイス対応類型)」について、主な違いを整理しました。
| 比較項目 | 通常枠 | インボイス枠 (インボイス対応類型) |
|---|---|---|
| 主な目的 | 業務効率化・生産性向上・DX推進 | インボイス制度への対応 |
| 主な補助対象 | ソフトウェア、AI機能を含むITツール、導入設定費、クラウド利用料、保守・サポート等 | 会計・受発注・決済などインボイス対応機能を有するソフトウェア、PC・タブレット、レジ・券売機等 |
| クラウド利用料 | 最大2年分 | 対象ITツールの要件による |
| 補助額 | 1プロセス以上:5万円~150万円未満 4プロセス以上:150万円~450万円以下 |
ソフトウェア:最大350万円 |
| 補助率 | 原則1/2以内 一定の最低賃金要件を満たす事業者は2/3以内 |
50万円以下の部分:3/4以内 小規模事業者:4/5以内 50万円超~350万円の部分:2/3以内 |
| ハードウェア | 原則としてソフトウェアを中心に支援 | PC・タブレット等:補助額10万円まで、補助率1/2以内 レジ・券売機等:補助額20万円まで、補助率1/2以内 |
調剤監査システムなどを導入して調剤業務そのものを効率化したい場合は、まず通常枠を確認すると良いでしょう。一方、インボイス制度への対応を目的として会計・決済機能を備えたITツールとPCやタブレットなどをあわせて導入したい場合は、インボイス枠が候補となります。
ただし、利用できる申請枠はITツールに登録されている機能やプロセスによって決まります。薬局側だけで申請枠を判断せず、導入予定のITツールを扱うIT導入支援事業者へ確認することが重要です。
補助金スケジュール
2026年のIT導入補助金(旧デジタル化・AI導入補助金)において、インボイス枠(インボイス対応類型)の申請は、以下のようになっています。
- 受付開始:2026年3月30日(月)10:00~ (予定)
- 1次締切:2026年5月12日(火)17:00
以降のスケジュールは分かり次第公式HPにて発表されますので、情報を適時確認するようにしてください。締め切り時間を過ぎてしなうとどのような理由でも対応してもらえないので気を付けましょう。
参照元:デジタル化・AI導入補助金2026/事業スケジュール(https://it-shien.smrj.go.jp/schedule/)
【注意】3年以内に交付決定を受けている場合の追加ルール
過去にIT導入補助金を利用したことがある薬局は、2026年度に再度申請する際の要件にも注意が必要です。
直近3年間に「デジタル化・AI導入補助金」または旧「IT導入補助金」の交付決定を受けた事業者が再申請する場合、賃上げに関する事業計画の策定や、実績についての報告が求められる場合があります。
これは、補助金を活用したデジタル化によって生まれた生産性向上の成果を、従業員の賃金向上にもつなげていくことを目的とした要件です。
また、申請時に設定した賃上げ目標について、定められた条件を満たせなかった場合には、補助金の返還を求められる可能性もあります。
「以前も利用できたから今回も同じ条件で申請できる」と考えず、過去の交付決定時期や今回適用される賃上げ要件、報告義務などを公募要領で確認したうえで申請しましょう。
IT導入補助金の対象サービス
当サイトで掲載している調剤監査システムの中から、IT導入支援事業者として掲載実績のある企業を紹介します。
なお、IT導入支援事業者として登録されている企業の製品であっても、すべての製品・プランがデジタル化・AI導入補助金2026の対象になるとは限りません。実際に申請する際は、導入するITツールが対象として登録されているかを各企業へ確認してください。
アサイクル株式会社

https://cp.pickinggo.pdszero.com/
アサイクル株式会社が提供する「PICKING GO」は、iPhoneやiPad、iPod touchを活用して医薬品のバーコードを読み取り、処方データとの照合や調剤記録を行えるピッキング監査システムです。
高額な専用端末や中継PCを必要とせず、手持ちの端末を活用して導入しやすい点が特徴。医薬品の取り違えを警告表示・警告音で知らせるほか、ピッキングを支援するナビゲーション機能なども備えています。
株式会社佐賀電算センター

株式会社佐賀電算センターでは、調剤薬局向けシステムの一つとして「Taker-SS」を提供しています。
Taker-SSは、調剤時に医薬品を確認することで、薬剤の取り違えなどのピッキングミス防止を支援する調剤監査システムです。在庫管理をはじめとした薬局業務向けシステムとあわせて検討できるため、監査だけでなく薬局内業務全体の効率化を考えている場合にも選択肢となります。
株式会社グッドサイクルシステム

https://www.goodcycle.net/
株式会社グッドサイクルシステムが提供する「正(tadashi)」は、コンパクトな専用ハンディ端末を使用してピッキング監査を行うシステムです。
医薬品のバーコードを読み取って確認することで、薬剤の種類や規格の取り違えといったヒューマンエラー防止をサポートします。持ち運びやすいハンディ型のため、据え置き型の大型機器を設置するスペースを確保しにくい薬局でも検討しやすいシステムです。
ピーホット株式会社

https://www.phot.co.jp/
ピーホット株式会社が提供する「PHOTバーコード監査システム」は、GS1対応バーコードリーダーとパソコンを組み合わせて使用する調剤監査システムです。
医薬品のバーコードを利用して確認を行うことで、目視だけに頼らないピッキング監査体制の構築をサポートします。既存原稿では初期費用無料で導入できるプランも紹介されており、調剤監査システムの導入コストを抑えたい薬局にも検討しやすい選択肢です。
富士フイルム

https://www.fujifilm.com/jp/ja
富士フイルムが提供する「PROOFIT 1D」は、同社が培ってきた画像解析技術を活用して、薬剤の監査を支援するシステムです。
画像を用いて薬剤の数量などを確認することで、薬剤師による目視確認の負担を軽減しながら、監査業務の精度向上をサポートします。バーコード読み取りを中心とした監査システムとは異なる仕組みを採用しているため、薬局の調剤フローや監査対象に合わせて比較すると良いでしょう。
株式会社モイネットシステム

https://www.moinetsystem.com/
株式会社モイネットシステムが提供する「調剤システム ファーミー」では、8インチサイズのタブレットとバーコードスキャナを組み合わせたピッキング監査に対応しています。
コンパクトな端末を使用して医薬品を確認できるため、調剤スペースを圧迫しにくく、ピッキング作業を行いながら監査を進めやすい点が特徴です。監査システムだけでなく、薬局業務を支援する各種機能とあわせて導入を検討できます。
参照元:デジタル化・AI導入補助金2026/IT導入支援事業者に関する公開情報