調剤薬局経営におけるM&A
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調剤薬局の経営戦略のひとつとしてあげられるのがM&Aです。ここでは、M&Aの概要とメリット・デメリット、M&Aを選択する調剤薬局が増えている理由を解説しています。
M&Aとは
M&Aは「Mergers and Acquisitions」の略語です。「Mergers」は合併、「Acquisitions」は買収と訳せます。つまり、会社の合併と買収をM&Aというのです。具体的には、2社以上の会社がひとつの会社に合併することやある会社が他の会社を買収することなどを指します。
合併と買収の主な違いは、会社を統合するかどうかです。会社を統合する合併に対し、買収は経営権を移動するのみで会社を統合しません。したがって、M&A実行後も買収された企業は存続します。
これまでM&Aというとネガティブなイメージをもたれることが少なくありませんでした。しかし、最近では経営戦略として採用する調剤薬局が増えています。調剤薬局のM&Aは、なぜ増えているのでしょうか。
調剤薬局のM&Aはなぜ増加しているのか
薬剤師不足
中小規模の調剤薬局では、自前で薬剤師を確保することが難しくなりつつあります。効率よく人材を確保する目的で、M&Aを選択する経営者が増えています。
後継者不足
小規模の調剤薬局では、後継者不足も問題になっています。親族や従業員が事業承継できないケースで、選択肢にあがるのがM&Aです。後継者が育っていない調剤薬局は、M&Aか廃業のいずれかを基本的に選択することになります。
競争の激化
医薬分業の進展に伴い全国の薬局数は右肩上がりに増加しています。競合他社との競争に勝つため、M&Aで事業規模の拡大を進める大手・中堅調剤薬局が増えています。この流れを受けて、事業を譲渡する調剤薬局も増えているのです。調剤薬局のM&Aのメリット
事業を継続しやすくなる
M&Aを活用すれば、売却側は後継者問題を解決できます。もちろん、従業員へ引き継ぐこともできますが、この場合は資金面で難航することが少なくありません。株式の買取が必要になるからです。事業規模が大きくなるため、薬剤師を確保しやすくなる点もメリットとしてあげられます。M&Aを活用すれば事業を継続しやすくなるでしょう。
事業規模を拡大できる
M&Aを活用すれば、買収側は短期間で事業規模を拡大できます。例えば、数カ月で新たな店舗を複数開店する、集客施策を実施することなく新規患者様を獲得するなどを実現できる可能性があります。事業の成長速度を加速できるでしょう。
調剤薬局のM&Aのデメリット
待遇や企業文化の変更
売却側は、M&Aにより従業員の待遇や企業文化が変わってしまうことが考えられます。ケースによっては、人員整理を伴うこともあるでしょう。M&Aの前に従業員の不安を解消しておくこと、相性の良い買主を見つけておくことが重要です。
反発を招く恐れがある
急激な変化を加えると、買収側は引き継いだ従業員から反発される恐れがあります。ケースによっては大量退職につながることもあるでしょう。経営方針の変更で、患者様が離れてしまう恐れがある点にも注意が必要です。